「そのことを彼に尋ねたが、彼はあっさりと否定したよ。おそらく嘘ではあるまい。私の思い過ごしだったようだ。それはそれで残念なのだよ。彼が百年前の人物であったなら、この戦いはすでに終わっていただろうに」

「そうなのかな」

 キャステルの言葉に久住は違和感を覚えた。

「どういう意味ですか?」

「思うんだけど、このままデイが魔王を倒しても、また百年後に同じことが起こるんじゃないかな。それじゃあただのその場しのぎにしかすぎないし、百年前の人物がもしデイだったら、きっと今は違った未来になってた。そんな気がする」

 視界の広くなった眼前を見つめる久住の横顔を見やり、キャステルも同じく遠方を見渡す。

「そうか、彼ならそんな終わらせ方はしないと言うんだな? そうかもしれないな」