「そうか」

 勇介は口元を緩ませて再び瞼を閉じる。

「それが君と他の魔物たちとの違いか」

 目を開き、ぼんやりと天井を見つめた。

「ありがとう、君が側近でよかった」

 口の中でつぶやくと立ち上がり、大きく手を振った。

「出るぞ! 準備しろ」





 ──デイトリアを捕らえ損ねた失敗から戻ってきたファリスにギルは睨みを利かせた。

「どうする気? こんな失態のまま魔王の前に会いに行けないよ」

「ギル……。こうなればまとまって奴と戦うしかない。各々でやりあっても勝てな──」

 ファリスは思いもしない痛みに言葉を切り、目の前のギルとそこから伸びる腕を見やった。

「ガっ!? ──ア、っ何故」