魔物たちが、いつから人間界をほしがるようになったのか定かではない。

 ルーインが側近を務める頃にはそれは魔物たちの悲願となっていた。

 そうしたなかで、長らく人間を見続けてきた魔王の側近はその心中にふと抱かせていた。

「オレはずっと疑問に思っていた。何故人間はこうも強いのだろうと」

 ひ弱で臆病な存在にもかかわらず、未だに人間界は我々の手に落ちない。

 幾度となくチャンスはあったはずだ。

 なのに、それらはことごとく人間に味方する。

「それで人間について勉強を?」

「こうも勝てないのでは、勝てない理由があるはずだと」

 振り上げた爪のひとかきで死ぬような人間がどうして我らに対抗出来るのか。

 その結論を導くには、魔物と人間ではあまりにも概念が違いすぎるのかもしれない。