「やはり失敗したか。四魔将といえどデイには敵わない」

 目を眇めて立木勇介(ガデス)はつぶやいた。

 そして静かにそれを見つめている側近のルーインを一瞥する。

「俺は愚かだと思うか」

「いいや」

 無表情に応えたルーインに薄い笑みを浮かべた。

 そうして、眼前に広がる玉差の間を見渡す。

 薄暗い空間だが、数百という数の魔物が集められるだけの広さがあり、施されている装飾などは豪華で高級感を漂わせている。

 魔王はゆっくりと瞼を閉じ、思考を巡らせた。

「君は他の魔物たちとどこか違う」

 ゆうるりと紡がれた言葉にルーインは魔王を一瞥し宙を見つめる。

 側近であるルーインは代々の魔王に仕えてきた。