「……よくも」

 相手にもされなかった男は悔しげに奥歯を噛みしめる。

 このまま手ぶらで帰る訳にはいかない。

「君たちの代表と話がしたい」

 デイトリアに馬鹿にされた形の男は、どうにもおさまらず発したキャステルを睨み付けた。

「何を馬鹿な、我が国は──」

「この期に及んでまだ手を結ばないつもりですか!?」

 一喝されて、そこにいた全ての者は萎縮した。

「国同士が争い合っている場合じゃないこともわからないのか」

「我々の国には強力な兵器がある。手を結ぶ必要など無い」

「武器が最強だとは思わないことだ。ここにいる君たち全員が束になっても我らには敵わないことを覚えておくといい」

 それを聞いた兵士たちはどよめき立つ。