静かになった人々を確認し立ち去ろうとしたデイトリアだったが、様子を窺っていたキャステルたちがおもむろに歩み寄る。

 互いに見合い、しばらく沈黙が続いた。

「デイトリアス、君の力はよく解った。魔王に引き渡すのはこちらにとても不利だということも──」

 続けようとした言葉は突然の轟音に遮られ上空に目をやると、黒く塗られたヘリコプターが位置を保ったままそこにいた。

 開かれたヘリのドアからライフルを向けた人の影が視界に入り、キャステルは眉を寄せる。

 どう見ても一般のヘリではない。

 何が起こっているのかと戸惑うキャステルたちの前に装甲車が勢いよく止まり、中から兵士と思われる武装をした男たちが数十人ほど駆けだしてライフルやショットガンを構えた。

 その銃口のほとんどはデイトリアに向けられている。