「ひぃ!?」

「きゃあっ!?」

 せり上がっていた土が元に戻り、デイトリアの姿を見て恐怖の叫びを上げた。

「大事ないか」

 青い瞳で静かに発する。

 だが、先ほどの様子が記憶に新しく、そんな落ち着いた姿も彼らには恐怖でしかない。

「俺たちを見捨てたくせに」

 どこからか小さく聞こえた言葉が人々の心にじわりと染みこむ。

「あ、あんたのせいで、俺たちがこんな目に遭うんだ。いい迷惑だよ」

「そうよね……」

「俺たちはお前のためにこんな目に遭うのか」

 それが皮切りとなり、一斉に罵声が飛び交う。

 言葉の刃を一身に浴びるデイトリアはじっと静かに佇んでいた。

 ひとしきりわめいて疲れた人々は、何の反応も示さない彼に怪訝な顔を浮かべる。

 沈黙していたデイトリアが一瞥していくと、人々はびくりと体を強ばらせていく。

「屈する事が全てではない」

 その存在感に息を呑み、言葉は失われていく。