「なるほど、じゃあ私はその特殊な趣味なんだね」

 呆れるように肩をすくめたマリレーヌにさして怒りを示さず、ファリスは口の端をやや吊り上げた。

「そうね、それにデイちゃんは人間じゃないしさぁ」

「だけれど、その意思はとても人間に似ているんだよ。だからきっと来るさ」

 その時──二人の予想に反し、デイトリアが眼前に突如、姿を現した。

「ちょっと!? どういうことよ!?」

 人質にされている人々も突然の出現にどよめく。

「やはり来ましたね。さて、この状況にあなたはどんな結果を出しますか?」

 ファリスは気を取り直して問いかけた。

「魔物らしいやり方をしたと褒めてほしいのか。あまり私をなめるな」

 静かな口調だが、そこがまた恐ろしさを感じずにはいられない。

 前回の魔法を見ているマリレーヌは険しくデイトリアを見つめた。