「約束の場所には監視を配置しているな」

 デイトリアが消えたあと、数秒ほど目を丸くしていたキャステルはおもむろに発した。

「え、ああ。もちろん」と佐伯。

「彼らに伝えよ、事の次第をつぶさに見よと。久住」

「はい」

「君はデイトリアスのことをどこまで知っている。私に何か隠していることは解っている。答えなさい」

 にこやかだが、厳しい視線が久住を見やる。

「それは──」

 やはりキャステルには隠し事などできなかった。

 心の中を見透かされて小さくなる。

「話したからと言って彼が君を責めることはしないはずだ」

「それは、そうですが」

 いざ問われて久住は躊躇った。

 本当にそれが良いのか、この先に良いものをもたらす事実なのか。

 キャステルを信じてはいても、それを聞いた他の人間はどうするのか……。

 しかし、話さなければならない。