あれだけひしめいていた魔物が十数匹にまで減っている。

 残った魔物も何が起こったのか把握出来ずに戸惑っていた。

 揺るぎのない優位性が一瞬にして崩れ去り、辺りは静まりかえる。

「今のって……」

 初めて見るデイトリアの力に久住もしばらく放心状態で眼前を見つめた。

 あれだけの数の魔物はもしや幻影だったのかと思うほど、あっけなく大地に吸い込まれていった。

「二度目は通じまい」

 相手がこちらの力を知らず油断していたおかげで成功したようなものだ。

 魔法の詠唱を悟られていたならば、これだけの数を減らせたかどうか解らない。

「どういうこと? なんであんたがこの魔法を唱えられるのよ」

 デイトリアが使った魔法は地の力を使ったものだ。

 広範囲に影響を与えられるぶん詠唱には時間がかかる。