「さ~て、お返事聞かせていただけないかしら?」

 久住はマリレーヌの鼻につく物言いに眉を寄せながらも、その背後にひしめく魔物に生唾を呑み込む。

 どす黒い意識がまさに視界一面に広がっている。

 交渉は無駄だと踏んだのか数に物を言わせてきた。

「マジかよ。こんな数、どうしようも──」

 つい消極的な発言にハッとして隣のデイトリアを見やる。

「己だけを守っていろ」

「なに言ってんだよ。魔物どもはデイに集中するに決まってんだろ」

「その方が都合が良い」

 こんな状況にもかかわらず抑揚のない声色に久住は目を丸くした。

 そして、改めて魔物を見回す。

 まさか、これだけの数を倒すって言うんじゃないだろうな……。