久住はそれでも迷いを捨てられずデイトリアと受話器を交互に見やった。

 そうして口を引き結ぶと、静かに受話器を戻す。

「バレるまで黙っててもいいよね。俺が言われたのはデイの警護と監視だけだから」

 目を丸くしているデイトリアに苦笑いを浮かべた。

「どうせすぐにばれる」

 久住の判断に溜息を吐いて肩をすくめた。

「そのときはそのとき。俺がなんとかするさ」

「お前が? 期待できんな」

「ぐっ……」

 痛いところをつかれてぐうの音も出ない。

 ──それから数日後、マリレーヌは魔物を引き連れてデイトリアのもとを訪れた。