「久しぶりねぇ、元気してたぁ?」

 マリレーヌはなまめかしくその妖艶な体を強調するように二人に歩み寄る。

「なんだこの女。妙にムカツクぜ」

「うるさいわね! あんたなんかさっさと死んだらどうなのよ!」

「なんだとこのアマァ!」

「奴のペースに乗せられるな」

 いささかヒステリックな女に驚きつつも久住をなだめる。

「ガデスは元気かね」

「あなたが素直にこっちにつけばすぐにでも会えるわよ?」

 色目を使いつつ牽制する。

「あら、ダメよ。こっちにつく振りして魔王様に近づこうなんて考えちゃ」

 口角を吊り上げて鼻を鳴らす。

 この一帯だけが静かな静寂に包まれ、遠くから響く爆発音までもが遠のいているようにも思えた。