鮮やかなデイトリアの動きに見惚れるがそんな場合じゃない。

 これじゃ守ってるんだか守られてるんだか解らないなと久住は苦笑いを浮かべた。

 デイトリアを守るためにいる久住だが、どちらかといえば久住がピンチに陥っている。

 その動きから繰り出される爪の攻撃は強力で、腕のひと振りで十体ほどを引き裂くほどだ。

 それでも、誤って久住に攻撃が当たらないようにと力を抑えているようにも見える。

 押し寄せる魔物たちに囲まれているというのに、久住は何故だか妙な安心感に浸っていた。

 本来であるならば、視界全体に魔物が見える現状にたった二人で勝てるとは到底思えない。

 しかし迫り来る魔物は巨大で、ふとすればすぐに命を落とす恐怖を完全に拭い去る事は適わない。

 そんななか、魔物たちの背後から見知った姿が現れた。