──破壊された街の一角

「デイ!」

「右だ」

 デイトリアは冷静に久住に指示を出す。

 魔王からの命令により、魔物たちはデイを捕らえるために躍起(やっき)になっていた。

 いくら倒しても続けざまに現れる魔物たちに久住はうんざりした。

 久住の能力は霊的なエネルギーを体内に取り込んで身体能力を超人的に向上させるというものだが、人間である以上は疲労もするし体力は無限ではない。

 その中で、デイトリアの動きは少しも衰える事もなく魔物をなぎ払っていた。

 彼の闘い方は独特だ。

 エネルギーを手に集中させて凝縮し爪で引き裂いていく。

 それは野性的でいて、流れるようなモーションは芸術的でもある。