覚悟はしていたものの、いざその日が来るのかと思うと緊張を隠せない。

「己の命を第一に考えろ」

 久住に応えるように閉じていた瞼を上げ、視線を宙に見据えて発する。

「わかってる。わかってるさ──」

 自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

 魔物の侵攻が始まれば世界は悲鳴に包まれる。

 それを勇介が本当に望んでいる事なのかデイトリアには計りかねた。