<なるほど……>

 久住はデイトリアがシャワーを浴びているあいだにキャステルに定期連絡をした。

 本当は色々な煩悩が渦巻いているが命令を無視するわけにはいかない。

<他には何も無いですか?>

「あ、はい。何もありません」

 久住はふと勇介(ガデス)の言葉を思い出す。

 しかし、あの違和感は自分の聞き間違いかもしれないと思い今は伏せる事にした。

<彼は本気でデイトリアスを手に入れるつもりなのだろうか>

「わかりません。でもハッタリとも思えません」

<彼を自由にしたら、向こうにつくと思うかい?>

「そんなことありません! 絶対に──」

「何を電話に叫んでいる」

「あ、ごめ──ん!?」

 振り返りまた叫びそうになって慌てて口を塞いだ。