「デイ、君の秘密──このままだと人間たちに知られてしまうよ」

 魔王は静かに威圧を与える。

 しかしデイトリアは振り向くこともなくコーヒーを口に含んだ。

「そうやっていつまでダンマリを決め込むつもりだい? まあいい、伝えておけよ久住」

  幻影は消え張り詰めた空気から静かな落ち着いた部屋に戻る。

 だが、穏やかじゃないのは久住だ。

 自分の知らないデイトリアスの秘密を勇介が知っていて、それを二人は共有しているような形になっている状態に苛つく。

 しかしデイトリアに目を向けると、先ほどのやり取りがまるで嘘だったかのようにのんびりとカップを傾けていた。

 デイの秘密ってなんなんだ?

 久住は問いかける事も出来ず、ただその様子を見つめていた。