──久住は食事を終えてソファに腰掛け、デイトリアの入れたコーヒーを傾ける。
「ずっとここにいるつもりなのか?」
問いかけられたデイトリアは手にしているコーヒーをしばらく見下ろし、カップをテーブルに乗せた。
「行く宛も無し」
「じゃあさ、俺んちに来いよ」
「遠慮しておく」
「そ、そう」
あまりにもの即答で生ぬるい笑みを浮かべた。
しかしすぐ、デイトリアの手料理を思い出し口元がゆるむ。
手間のかかる料理ではないと言われたが久住にとっては恋い焦がれた相手の手料理なのだ、目玉焼きですら至福のひとときだろう。
あんな料理毎日作って欲しいなぁ、などと顔のニヤつきが抑えられない。
「そんな奴をわたしの家に入れないで欲しいね」
突然、現れた影に久住の表情は硬くなる。