「よくも言う」

 小さくなっていく車に呆れたように溜息を漏らすと、見知った車が隣に横付けされる。

「デイ、早く乗って乗って」

 窓から出てきた久住の顔は満面の笑みを浮かべて幸せそうだ。

 これからデイトリアと寝食を共にすると思うだけで天にも昇る気持ちなのだろう。

「途中にあるスーパーに寄ってくれ」

「スーパー? なんで?」

「食べないつもりか?」

「ああ、弁当でも買うの?」

「それでは栄養が偏ってしまう」

「えっ!? それって俺に作ってくれるのっ!?」

「おまえのために作るのではない」

「でも俺の分も作ってくれるんだろ? やった!」

 久住は嬉しくて仕方がないのか、肩を弾ませ鼻歌まで流し始めた。

 デイトリアはそれを一瞥し窓の外に視線を移す。