──数日後、キャステルの連絡で話し合いの場が設けらる事となった。

「デイ、いよいよだね。デイの言うことを聞かない奴がいたら、俺が殴ってやるから安心しろ!」

「やめておけ」

 ちょっとした恋人気取りの久住だったが、あっさりといなされて勢い良く振りかざしていた握り拳がヘナヘナと垂れていく。

 確かに久住の力は強い方だが、彼より強い人間はごまんといる。

「あっ! 待ってよ」

 スタスタと歩いていくデイを足早に追いかけた。

 久住の乗ってきた車で一時間ほど走ると、都心から離れた場所にひっそりと佇む三階建てのこぢんまりしたビルが視界に入る。

 外見は普通の事務用ビルだが、扉の開いたエレベータに滑り込んだ久住が何も書かれていないボタンを押すとテンキーが現れた。

 何の変哲もないボタンだと思われたものは指紋認証機能があるのかもしれない。