「魔王よ、これからなんとお呼びすればよいのか」

 ルーインが静かに問いかける。

 男は銀色に輝く鎧と、深紅のマントを羽織り目を細めた。

 その男──立木 勇介──の容姿は人間界にいた時とは明らかに違っていた。

 目尻は険しく、手に入れた力のすさまじさに存在感は際立ったものとなっていた。

 魔というものが持つ美しさも兼ね備えているようだ。

「ガデス」

「魔王ガデス。我らを導きたまえ」

 低く発するとルーインがそれに応え、そこにいた全ての魔物たちは深々と頭を下げた。