「いい部屋ね」

 これからのことを話し合うために青年は自分の住むマンションに彼女を招き入れた。

「自分の帰る場所だから、じっくり選んで決めたんだ」

「いい心がけね」

 先ほど、あれだけ脅されて人間ではないと解っていても惹かれた感情はそうそう消えるものじゃない。

 下心がないと言えば嘘になる。

 しかし、あんな場所で夜中に話していたら警察でも呼ばれかねない。

 そういうちゃんとした理由はあるのだ。

 どのみち、下心で誘ったとしても魔物と戦い続けている彼女に自分が敵うとも思えない。

「俺はこの先どうすればいいんだ?」

 上着とネクタイを脱ぎ捨てる。

 実はまだ実感がわかない。