「どうした」

「ん、ちょっと悪い夢を見ちゃって」

 頭をかかえて起きてきた事に気遣うデイトリアに苦く返し、ダイニングの椅子に腰掛けた。

「デイって気が利くよね」

 目の前にコーヒーが置かれてぼそりとつぶやく。

「そうかね?」

 しれっと応えるが、今まで何人かいた恋人でさえ彼ほどの気配りをしてくれた記憶はない。

 別にそれが良い悪いとか言うつもりはないけど。

「ん?」

 リビングテーブルに置いてある勇介の携帯端末が着信を知らせていた。

 どうせいつものニュースだろうと立ち上がる。

 頼んでもいないのに毎日ニュースだの占いだのと面倒なメールが着て困る。

 まだ痛みを残すこめかみをさすりながらメールを開く。