エルミが帰ったあと、デイトリアはいつものようにコーヒーを片手にソファでくつろいでいた。

 勇介はその姿を視界全体で捉える。

 俺から見れば十分に強いと思う彼女から「彼は特別」と聞いて、今まで以上にデイトリアとの距離が遠くなった気がした。

 近づきたいと思えば思うほど、親しくなったと感じれば感じるほどに遠く、遠く。

 遠のいていく──それが何故か勇介には悔しくて、寂しかった。