「逆の立場であったとしても、奴がおまえを認めるとは思えんがね」

 淡々とした声に勇介の心が突き刺さった。

「デイ!」

 なんてことを──

「ええ、わかっているわ。いつでもあの人に会える。それだけで私には充分なの」

「その方が辛いとは思わんか」

 切なく語る彼女に、やはり色のない言葉が投げられた。

「そうかもしれないわね」

 怒るでも、悲しむでもない声色の視線はただ宙を見つめている。

 何度も繰り返されたやり取りなのだろうか、それは決まり事のように淡々と進められてふと途切れる。

 互いに抑揚もなく、どこかしら冷めた会話に勇介は眉を寄せた。