──ここまで話を聞いても到底、信じられることじゃない。

 化け猫に襲われはしたが、そこから魔王までの流れをつなげられるほどには青年の頭は柔軟には出来ていない。

 女は半ば置いてけぼりを食っている青年を見やり、さらに口を開く。

「人界へ進出するには人間を王にすることが最も適している。一端、波長が合えば向こう十年は合ったままだ。逃げるか、戦うか、王になるか。選ぶのはあなた自身。もっとも、王になれば私の敵となるということだけれど」

「──っ」

 青年は言葉を詰まらせた。

 いきなりそんな事を言われたって解る訳がない。

「選べ」なんて無理な話だ。