「はあ~」

 元の部屋に戻った事を確認した勇介は緊張から解き放たれて溜息を漏らす。

 しかしふと、眉を寄せるデイトリアを見やって同じく眉間にしわを刻んだ。

「あ~、服はそのままなんだね」

 青年の苦笑いにデイトリアは肩をすくめて自室に向かう。

 あれはあれで似合っていると思うけど、やはりこの時代にはおかしな格好だ。

 着替えを済ませて戻ってきたデイトリアは、勇介の前のソファに腰掛けて冷めた紅茶に口をつける。

「今まで戦っていたのに平然としてるなんて凄いな」

「慣れただけだ。あまり良い事とも思えんがね」

「あ、ごめん」

 戦うことに馴れているなんて、やっぱり良い訳じゃないよな。

 それだけ、敵がいたってことだし。