真優は岡田を見た。


___ほら、また…‥。


岡田は寂しそうな顔をして真優を見つめていた。

倉庫は薄暗い。
時刻は真優の腕時計では、6時半を指していた。


岡田に名前で呼ばれたことはこれが初めてだ。


「先生、寂しそう」

「真優のせい」


岡田は手を伸ばした。
真優の頬に触れようと…‥。




ガラッ


「あっ…‥」


岡田の手が触れる直前、倉庫の扉が開かれた。

真優はあっと声を出した。



目の前には息を切らしている杉山が立っていた。


「先輩!!」

「杉山くん!!」


真優は杉山に飛び付いた。杉山は少しびっくりしていたがすぐに笑った。


「真優先輩帰って来ないからめっちゃ心配したんですよ!?」

「ありがとう〜!!」


その横を岡田が通る。
岡田はニコッと笑って杉山に話かける。

「ありがとう、杉山くん。あ、鍵は僕が返しておきます」

「お願いします!!」

何もしない杉山はニコッと笑って鍵を岡田に預けた。

そのまま岡田は体育館を出ていった。
やはりどこか寂しそうな顔をしていた。