女磨きの法則


「もしもし、何?だからなんもないよ」

相手はジュン君。

独りにさせてよ、もう。

「あー…もしもし?」

用件も知らないジュン君は

平然として話す。

「何よ」

「お前ん家の前なう」

「え?!?!」

「フハハ、声でかいっつーの」

アタシはビックリして階段を駆け降りる。

そしてドアを開いた後、

今の自分の格好を思い出す。

「わっ、ちょっ、アタシパジャマだ」

「お前…恥ずかしい奴だな」

玄関の前に立ってたのは

雨に濡れたびしょ濡れのジュン君。

「何よ!!」

「おっと、心配してあげたのにそんな言い方はないな」

悪戯な笑みを浮かべ、

どこか悲しげな顔をしている。

「別にしてほしいわけじゃないもん…」