「はぁ...もう朝」
ため息で始まる一日もなんだか何もかんじない。
オシャレな服もお気に入りの靴も涙と一緒に捨てた。





空っぽな時間がむなしくて、忙しく生きてたかった。
一緒にいてくれる人がほしかった。
大学時代、朝から晩まで詰め込んだバイト。





必要最低限のものと食材しか買わない日々。
増える貯金。
いつか家族のために、自分のために。
ってためてたお金も
自分の老後のために変わった。







「メール...」
めずらしく光る携帯。
《啓太》
画面を見てまたひとつため息。






《今日の8時家行くから》
絵文字も何もないそっけないメール。
もう一週間も連絡なかったのにいきなりこんなメール。
自己中な私の彼氏、佐野啓太。






《はい》
と一言返信して学校に向かった。
少し痛む足が昨日の滝川君の優しさを思い出させた。