そして試合後。
 「よくやったよ智」
 幸次が励ましてくれる。
 「ああ」
 「そういえばさ、由紀ちゃんとはどうなんだ?」
 「・・・」
 「どうかしたのか?」
 「なんか俺怖いんだ」
 「こわい?」
 「ああ、由紀のことは好きなんだ、だけど由紀のことばっか考えていると優香のことを和すれそうで」
 「そうか、なあ智」
 「ん?」
 「おまえ、その優香さんが死んだときおことおぼえているか?」
 「ああ、あの時の優香の顔、手の感触、手の冷たさ」
 「なら大丈夫さ」
 「え?」
 「それだけ覚えてりゃわすれね~よ」
 「どうゆうことだよ」
 「わすれてねーってことはそれほど大事に思ってたってことだよ、だからこれからもずっと智が優香さんを忘れることはね~よ」
 「・・・」
 「それより、いまは由紀ちゃんのことのほうが大事じゃないのか?もちろん優香さんのことを忘れろとは言わない、だけど智は由紀ちゃんが好きなんだろ?」
 「ああ・・・」
 「だったら、今好きな人はだいじにしろ、由紀ちゃんは智以上に思ってくれているかもしれないぞ」
 「わかった・・・、いってくる!」
 そしておれは由紀のもとへと向かった。
 「頑張れよ、智・・・」