「もうっ… 馴れない土地で疲れてんじゃないの? 大丈夫?」



「大丈夫 大丈夫
明日っから夏休みだから何しようか考えてただけ」



「なーんだ
心配して損したっ てか そうそう!!!夏休みならこっちに遊びに来れないの?」



急に黙り込むあたしに華は心配の声をかけてきたが、なるべく明るい声にして否定した。



「なーんだ は無いんじゃないの 華ちゃ~ん
ったく…
今の所 そっちに行く予定はないよ」



「えええー…
来ないの? あーあ あんたがいないとつまんない」



その言葉に少し頬が綻ぶ。



「とか言ってー サッカー部の合宿やら練習があるんでしょ?つまんないって言ってられないくらい忙しくなるじゃん 頑張ってねマネージャーさん♪」



「今年も部活で夏休みが終わるのかー…」









それから、少し話しをしてから電話を切った。



「あっ そう言えば さっきの……」



そう言ってさっきカバンの中に見慣れない物を見つけたのを思い出しカバンの中を漁る。




「ああ あったあった
ってこれって……」


カバンから取り出したのは見たことのない黒革の財布だった。