あたしは内心、突如現れた女の観察…もとい悪態をついていると爽やか男子が女子生徒に連れていかれそうになっていた。


「じゃあ じっちゃんまた明日~
君もまたね」


「えっ… あっちょっと!!」


その声も虚しく、あっという間に2人の姿は見えなくなった。

「やばっ…
流石に サイフは」


「小畑なら音楽室に行ったぞ」

「えっ?」


カバンを握りしめ、慌てて追いかけようとするあたしに後ろから声が聞こえた。


「あ、ありがとうございます!!」


結局、先生だか事務の人だか誰だか分からないまま人の良さそうな笑みを見せるおじいさんにお礼を言い、爽やか男子+女子生徒の後を追いかける為階段を駆けていった。


「…音楽室は下なんだがな」


詩織の後ろ姿を見届けると、誰もいない静かな廊下にその呟きだけが響いた。