ふわっと冷たい腕に包まれた

氷のようにつめいた先生の腕
その腕が優しく私を抱きしめている

「先・・・生?」

「俺は人間との関係をずっと避けていた。
ヴァンパイアである俺たちにとって人間は一番危険な存在であり
一番弱いモノだから・・・。」

吐息に耳が熱くなった

「でも
お前は、俺の中に驚くほど自然に入ってきて
俺を簡単に振り回して・・・
そして
何も無かったかのように出て行った・・・。

お前が生物準備室に来なくなってから
俺はイヤってほど思わされたよ。」


顔を離して先生は私を見つめる
そこにはいつもの先生がいた

「おまえみたいな人間、150年生きていて初めてだ。」

初めて先生が笑った
子供見たいにクスっと笑って私を見つめた

「先生・・・好き。」

私の言葉に先生は私を抱きしめた

「全てのヴァンパイアを敵に回しても
お前の傍にいたいよ・・・。」

月明かりに照らされたベランダ
でも
私にとっては最高のダンスフロアにも負けないくらいに
特別な場所になる

私の首筋に
そっと冷たい口付けが落ちた
でも
私の熱はそれすら快感に変えてしまう

真夏の夜にやってきた訪問者
それは私に何よりも熱いそして優しく冷えた愛をくれた