Blood Smell

ゆっくり
先生の手が背中に回った


「ありがとう。

何があっても冴は守るから。」



「はい。」



優しく微笑む先生が
ゆっくり私の体を押し離した


「今日、俺たちを襲ってきたのは…ライカンだ。」


「ライカン?」


耳馴染みのない言葉


「そう。…狼人(オオカミビト)だ。」


狼人…!?



「狼人間!!
まさかっ!?物語の中だけの話じゃ…」


言いかけてハッとした

目の前にいる彼もまた物語の中だけ存在だと言われてる生物…


「世界中に伝わるおとぎ話や童話、物語が全て架空の話とは言えないんだよ。

ドラキュラ伝説や狼男、人魚姫…どうして数百年も語り継がれてきたと思う?」


先生の口角がゆっくり持ち上がる


「まさかっ…!」


私の頭に浮かんできた答えを先生が読み取ったかのように口を開く