Blood Smell

それから
先生は私をかかえて瞬即移動


一目に付くことなく学校に戻った



マラソン大会はもう終盤で生徒が続々とグランドに帰っていた



生物準備室の窓ガラスを開けて中に入る


先生はソファにゆっくり座らせてくれた


「冴、今日はもう早退しろ。さっきの件もあるし…今日はうちに泊まるといい。」


「えぇ!?
ちょっ…!」



そう言うと先生は一瞬でいなくなり


数十秒後私の目の前に現れた


手には私の制服と鞄が握られていた


「嘘…。マジで…?」

大分馴れたとはいえ
先生の人間離れした…ヴァンパイアの片鱗を見ると驚きは隠せなかった



「着替えて、ここにいろ。冴の自宅にはこっちから連絡する。俺は親父に事情を説明してくるから。」



先生は右手を広げると
その上に、左手の人差し指で何かを書いた


そして
右手から何かを飛ばすように息を吹く


次の瞬間
あり得ないことが起こった

先生の吹いた先から小さなコウモリが現れて

先生の足元に降りた


「冴を守れ。」


先生の一言にコウモリはみるみるうちに姿をかえて


うちの学園の制服を着た女の子になった