Blood Smell

「せ、先生…!?」


私が呼び掛けると
先生は私を木からゆっくり下ろしてくれた



トンッ…


地面に付いた瞬間に私は先生に抱きついた



氷のような冷たい体
強靭で弾力のある滑らかな肌


そして
ゆっくり背中に回る優しい腕



「ごめん。怖い思いをさせた。」


「違う。違うよ。」
先生の言葉に首を横に振る

「え?」



「確かに怪物は怖かったけど…
先生が…先生が傷つく事の方が怖かった。」



「冴…。」


ポンポンと優しく背中を叩く先生

それが
私に心からの安心をくれた

「よかった…。先生が無事でよかった。」


ぎゅぅ…


力一杯先生を抱き締めた


先生はクスッと笑って私の額に口付ける


「ありがとう。冴。」


降ってくる言葉は氷菓子の様に甘い