Blood Smell

私を庇うように茶色い物体をかわす


鼓動が耳に響く
恐怖で目を閉じることすらできない


跳ね返ったボールの様にまた茶色い物体が向かってきた


ヒラリとかわして
先生は私を抱き上げて高くジャンプする


「きゃっ!!」


大きな幹の太い枝の上に私を降ろす


枝は不安定で私は幹にしがみついた


「ここにいて。」



軽く笑って先生は降りていった


気をつけて…

言えない言葉を胸に残したまま私は背中を見送る



そこからは速すぎて
目が皿になっても先生たちの姿を見ることができなかった


ただ時々聞こえる接触音に耳を傾けるだけ