ガツンッ



何かが私の頭にぶつかった

鈍い痛みとじわっ…とこもる熱…


「あ、ごめん。
引っ掻いちゃった?
ごめんねー?余りにも遅いから…つい…クスッ!」


わざとらしい口調に込められた苛立ち


もう
私を追い詰めてるんだ


いつまでも逃げる訳にはいかない…


狩りの獲物のように私は怯えながら必死で走る



「キャッ?!」
ドサッ!


湿っぽい蘚の上に転がる私

左足に激痛が走った


木の根に食い込んで足首が不自然に曲がっていた


声を押さえることができない


痛みのままに上がる叫び声


「っださぁーい!
あははは♪
どんくさいね。
調子に乗ってるからだよ、下等生物がっ!」


勝ち誇って私の頭上に立つ世にも美しいヴァンパイア


「二度とシュルドと関わらないって言うなら、命は見逃してあげるわよ?」


悪魔の取引が始まった