『もう一度、会いたいかい?』
どこからか、老人のような声が聞こえてきた。
ここには、誰もいないはず…。
神田はゆっくり辺りを見回したが、やっぱり誰もいなかった。
見渡す限りたくさんの墓が広がっているばかりである。
というか、自分に向けての声ではなかったのかもしれない。
…でも、あまりにも自分が思っていたことを見透かしたような声だった。
…今日は、もう帰ろう。
そう思って結菜のお墓に背を向けたとき――…、
『もう帰るのかい?友人に、会いたくないのかい?』
…また風に乗って声が聞こえた。
まるで誰かが神田のすぐ傍にいるかのように。
はっきりと神田の心に問いかけてきた。
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