『真理、もしかして知らなかったのかい?』
急に黙った私を見て疑問に思ったのだろうか、マダムは心配そうにしていた。
『え…?う、そですよね?だって…、レンさんもジルさんもセシアさんも…そんなことは一言も……!』
『真理、落ち着いておくれよ。』
軽くパニックに陥った私を落ち着かせるようにマダムは私の肩に手をのせた。
『…どういう説明を受けたのかは知らないが、』
『嘘だ!あの人たちが、そんな仕事をしているわけない!!』
…信じたくなかったのだ。あんな優しい人達が、仕事で人を殺していたということを。
神田はマダムの黒い服を思わず握っていた。
『…信じる信じないは自由さ。……ただ、』
マダムは神田の肩に置いた手に力を入れた。
『痛っ………。』
神田は女性とは思えない力に顔を歪めたが、マダムは表情を変えずに力を入れたまま続けた。
『今は自分の身の方を心配した方がいいんじゃないのかい?』
そう言った途端、マダムは懐から短刀を取り出し、神田の首に突き付けた。
『―――っ!?』
突然のことに、体が全く動かなかった。
マダムの言ったことを神田はよく回らない頭で必死に考えた。
――ワタシハ、コロサレル?
神田は、全身が震えるのを感じた。
