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夢を見た。


とっても心地よい夢。

真っ白の世界で結菜と私が一緒にいる夢。


なんにもしていないけど、2人とも笑っていた。


結菜はずっと私の頭をなでてくれて、私は結菜の手を握っていた。



――これがずっと続けばいい。




そう思って結菜の手を更に強く握って目を閉じた。




すると、不意に離れる気配がした。


慌てて目を開けると握っていたはずの手がなかった。

代わりに見つけたのは、立ち去っていく親友の背中。



『っ結菜!!待って!!』



必死に叫んで追いかけるが、
追いつくどころか、ますます距離は広がっていく。



『結菜っ!!結ぅ菜ぁぁ!!!』


何回叫んでも、どれだけ走っても結菜は振り返らない。


息がきれて立ち止まると、足元から迫ってきたのは闇。



『…!?いや!離してよ!!』



闇から手が伸びてきて、私の足を掴んできた。

これでは動こうにも動けない。



『離して!…結菜っ!助けて!』


結菜に助けを求めると、背中はゆっくりと振り返った。



『…すまない。忘れてくれ。』




そう言ったときの顔が切なそうで。悲しそうで。



私は闇に対する抵抗を止めた。

すると闇は瞬く間に私の体中を包んできた。



それでも気づかなかった。




どうして。どうして?
そんなに悲しそうなのに。





笑っているの――…?





闇は目の前まで迫り、私は闇の中に堕ちていった。