それでも、まだ。





『アヴィルさーん。』



レンは組織に戻った後、3人をおいて1人でアヴィルの部屋の前に来ていた。





―もちろん、先程の神田との会話を報告するために。




『アヴィルさーーん!!』



しかし、肝心な部屋の主がなかなか現れない。



『あれ?おかしいな〜。居るはずなのに。アヴィルさーん!』



―――シーン




『ア・ヴィ・ル・さーーー』
―――バンッ
『うるせえよっ!!!』



突然レンの目の前のドアが開き、目当ての部屋の主が姿を現した。



『やだなー、アヴィルさんの方が五月蝿いですよ。』


レンがへらりと笑って言うと、アヴィルは顔をしかめた。



『お前が何回も呼ぶからだろうが。あと漢字で言うな、なんかムカつくぞ。』



『ハハ、気のせいですよ。そんなに怒るといい男が台なしですよ〜。それより、報告です。』




『誰のせいだ。…ったく。』




文句を言いながらアヴィルは部屋の中に消えていった。



これは、アヴィルの入っていいという合図だ。



『失礼しまーす。』



そう言ってレンも部屋の中に入っていった。