それでも、まだ。



――グルルルル



改めて見ると、相当熊は怒っているようだ。


さっきの手榴弾でもびくともしてない。



こりゃ少し本気でやった方がよさそうだ。



『雷風波。』


そう言って刀を振りかざそうとしたとき。





『はーい、そこまで。』



レンがいつの間にか横から現れ、セシアの攻撃を刀で受け止めた。



『ちょ、レンさん!?』



『はいはい、話は後で聞くし、聞かせてもらうから。』



『そうじゃなくて、後ろに!』



『分かってるって。』


レンはへらりと笑って熊の方を振り返った。


『グガァァァッ!!』



――ガキンッ



熊が振りかざしてきた太い腕を、レンは簡単に刀で受け止めた。




…しかも、片腕で。



『命が惜しければ早く帰んなよ。』


そうレンが言って軽く熊を睨むと、熊はガタガタ震え出した。




―――だが。




『グ、グギャァァッ!!』




熊は暴れだした。