それでも、まだ。


―――――――

漆黒の森に入ってから、どんどん足を進めていた。



どこに行っているのかなんて、自分でも分からない。



でも、なんだか嫌な予感がしていた。早く進め、と脳が、全身が、自分に警告をしている気がした。



そのとき。




『きゃあぁぁぁぁ!!』




どこからか悲鳴が聞こえた。



『――!!』



すぐに聞こえた方向へ全力で走った。



嫌な予感が増していく。


何が起こっているのかなんて、分からない。


ただ、行かなくてはきっと後悔する。そんな気がした。





だんだん近づいていくと、熊らしき生物が見えた。



なんだ、あれは。
デカすぎる。しかもなにかが熊を取り巻いている…?



熊の足元を見たとき、またビックリした。



そこには、女がいたのだ。



きれいな亜麻色の髪、丸くて大きな紅い瞳。小柄ながらも女らしさを含んだ体つき。




この女は、絶対に守らなくてはならない。




直感でそう思ったときには、持っていた手榴弾を熊に向けて投げていた。




―――ドカァァン



『グギャァァッ!』




熊が怯んだ隙に、熊と女の間に立った。




『大丈夫か?』



そう言って女の方を振り返った。