『繋がる……?』
神田が首をかしげると、シーホークはクスリと笑ってギシッと座っていた椅子をしならせて、神田の方に向き直った。
『まあ正確に言えば、距離が近くなる、ですかね。この世界と人間界は、毎日少しずつお互いの世界同士の距離が変化しています。簡単に言えば、地球と月のようなものです。』
ああ、と神田が納得した表情をすると、シーホークはまた画面へと向き直った。
『この夜の世界と人間界の場合では、その距離が本当に0に近づきます。そしてその日のみ、この夜の世界にも光がもたらされるんです。』
『その日だけ人間界のようになるってことですか?』
『そういうことです。そしてその日が、世界会議の日、つまり3週間後ということです。今回世界政府が動き出したのも、そのためでしょうね。』
『なるほど…。でも私は今までシーホークさんのような人たちに会ったことはないです。』
神田がぼそりと呟くと、シーホークは一瞬呆気にとられた表情をしたが、すぐに笑い出した。
『ふふふ。そりゃそうですよ。私たちの存在はあくまで秘密。世界同士が繋がるといっても、繋がるのはお互いの世界の一部分だけです。人間界で繋がっているのは先程から移っている世界政府のある一部屋だけです。』
『こっちの世界ではどこなんですか?』
神田が笑われたことに若干むっとしながら聞くと、シーホークはまだ笑いながら答えた。
『すみませんつい。こちらの世界では……蘭という人を知っていますか?』
『え?蘭さん?はい、いつも買い出しにそこにみんな行っていましたし…。』
神田が墓地の先にあった古びた木製の小屋で初めて蘭に会ったときのことを思い出しながら答えると、シーホークは人差し指を立てた。
『その方の家が繋がります。』
