それでも、まだ。



取り残されたジルは、とても焦っていた。



追いかけたいのは山々だが、ジル自身もこの森には勝手に入れないのだから。




そのとき、連絡を終えたレンがようやく戻ってきた。



『はぁー、アヴィルさんは口うるさくて敵わないや。やっと許可もらえたよ。…ってあれ?セシアは?』



『……レン、もう一度無線で連絡をとってくれ。』


ジルは静かに口を開いた。


『え?なんでさ。いやだよ〜、またアヴィルさんと話すなんて。』



冗談交じりに文句を言うレンだったが、ジルの顔を見て顔つきを変えた。



『……どうしたの?』


レンは先程とは打って変わって、真面目な声色で聞いた。



『すまない。セシアが………、漆黒の森に入った。』



『…………!』


レンは目つきを変えた。



『分かった。すぐ連絡するよ。……僕たちも久しぶりに入ろうか?ジル。』



『………ああ。』



そして表情を険しくさせた2人の男は、セシアの後を追い、同様に漆黒の森に入っていった。