それでも、まだ。



セシアは辺りを見回した。


すると、とある森が目に入った。

――漆黒の森



そう、夜の世界で呼ばれている森だ。この世界で最も暗く、闇を伴わせている不気味な場所だ。


セシア自身、この森に入ったことが一度もない。


上司たちに禁じられているからだ。


なんでも危険過ぎるとかなんとかで。


実際、セシアもこの森に好き好んで入ろうとは思わないし、何より恐ろしい。



しかし、今は――…。





『すいません、ジルさん。ちょっと外れます。』

セシアは無意識に走りだしていた。


『は?え、おい、どこに行く?』



なぜだか分からない。

でも、行かなければならない気がしてならなかったのだ。




『待て、セシア!!そこがどこだか分かってるのか!?戻ってこい!!』


ジルが焦って叫んでいるのも遠くに聞こえた。



セシアは迷いもなく漆黒の森に足を
踏みいれていた――…。