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『………ん…?』
セシアが目を覚ますと、目の前には真っ白な天井が広がっていた。
広々としたベッドの上にセシアは横たわっており、腕には点滴が、そして左脚には包帯が何重にも巻かれていた。
(…あぁ、そうか。)
セシアはゆっくりと体を起こした。
ーーー自分は、村で金髪の男にやられたのだ。
セシアはぐっと拳を握りしめた。
…自分が気を失った後、事態はどうなったのであろうか。
セシアはきょろきょろと辺りを見回したが、部屋には治療器具と小さな丸椅子以外には何もなく、真っ白な壁が広がっているだけであった。…敵地ではないのだろうか。
窓もなかったが、少し離れた所に扉があるのが見えた。
(…なんとか状況を知りたい。)
そう思ってベッドから出ようとしたとき、扉の向こうから足音が聞こえてきた。
セシアは思わず身構えたが、入ってきたのは、少し黄ばんだ白衣を着た白髪の老人であった。きっと医師であろう。
『あぁ、目覚めましたか。』
老人は人の良い笑みをセシアに向けると、近付いて手に持っていた湯のみを差し出した。
『どうぞ、お茶です。』
皺が濃い手をまじまじと見つつ、受けとってよいものか判断しかねていると、老人は悟ったのか、懐から紙コップを取り出し、少し注ぎわけた。
そしてそのまま紙コップの中身を飲み干すと、再び湯のみを差し出した。
『毒ではありませんので。ここは敵地でもありませんのでご安心を。』
その動作と言葉にセシアはおずおずと湯のみを受け取ると、一口コクリ、とお茶を飲んだ。
その様子に老人は嬉しそうに微笑むと、セシアの元を離れ、医療機器のある机の方にゆっくりと近付いて、作業を始めた。
セシアは老人の動きを目で追いながらも頭の中で考えを巡らせていた。
ーーあれから、何が起こったのだろう。
事態が収集したのなら、ここに幹部の者がいてもおかしくない。…だが、ここはとても静かである。扉の外からは、物音ひとつ聞こえない。
老人が敵で、嘘を言っているようには見えないが……、もしもということもある。
あるいは、金髪の男の件とは別に、また別の何かが起こったか…。
……神田は大丈夫だろうか。
セシアはなんだか嫌な予感がした。
『そういえば、黒組織がまた現れたようですね。』
老人の唐突な言葉に、セシアは意識を目の前に向けた。
『……黒組織……?』
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